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急性腎障害

急性腎障害とは?

急性腎障害(AKI:Acute Kidney Injury)は、数時間から7日以内に腎機能が低下する状態です。
以前が急性腎不全と言われていましたが、国際共通用語として急性腎障害に統一されました。AKIは腎機能低下により尿量が減少や老廃物が体内に蓄積します。
適切な治療を行わないと、慢性腎臓病(CKD)に移行し、最終的には透析などの腎代替療法が必要になることもあります。

慢性腎臓病


急性腎障害の原因

AKIは原因により以下の3つに分類されます。

腎前性AKI

腎臓への血流が減少することで起こります。脱水、出血、敗血症、心不全、低血圧、ネフローゼ症候群などが原因となります。
腎前性AKIは、全体の約60-70%を占める最も頻度の高いタイプです。

腎性AKI

腎臓自体が障害されることで起こります。薬剤性腎障害、急性糸球体腎炎、間質性腎炎などが原因となります。腎性AKIは、全体の約25-40%を占めます。
特に、薬剤性腎障害は注意が必要です。

腎後性AKI

尿を排出するまでのルート(尿管から尿道まで)に狭窄や閉塞があり尿がうっ滞することで起こります。
前立腺肥大症、尿路結石、悪性腫瘍などが原因となります。腎後性AKIは、全体の約5-10%を占めます。早期の閉塞解除が重要です。


急性腎障害の検査

血液検査、尿検査、画像検査(超音波検査、CT検査)を行い、原因精査を行います。血液検査では、血清クレアチニンや尿素窒素の上昇を認めます。画像検査では、腎臓の腫大や水腎症の有無を確認します。
また、腎性AKIの場合は、腎生検をすることがあります。腎生検では、腎臓の組織を採取し顕微鏡で観察することで病状にあった治療を行います。
*腎生検が必要な場合は、入院検査が必要なため連携医療機関に紹介となります。


急性腎障害の治療

AKIの治療は原因によって異なります。

腎前性AKI

脱水などで腎臓へ血流が低下しているため、基本的には輸液が必要となります。
輸液療法により、約70-80%の患者で腎機能の改善が期待できると言われています。
ただし、心不全などの病状によって治療が異なりますので当院や専門医のいる医療機関に受診してください。

腎性AKI

薬剤性腎障害の場合は、原因となる薬剤の中止をします。
病状によってはステロイド薬など使用します。糸球体腎炎の場合は、腎生検の結果をみてステロイド薬などを使用します。

腎後性AKI

尿路の狭窄や閉塞を解除する必要があるため、カテーテルの留置や手術が必要な場合があります。その場合は、泌尿器科のいる医療機関に受診する必要があります。早期の閉塞解除により、腎機能の改善が期待できます。
AKIの重症例では、一時的に血液透析が必要となることがあるため、まずは腎臓内科専門医のいる医療機関に受診をしてください。


急性腎障害の予防

AKIの予防には以下の点が重要です。

脱水の予防

十分な水分摂取を心がけましょう。

不要なサプリメントや健康食品の摂取を避ける

SNSなどで宣伝されているサプリメントや健康食品は、エビデンスが乏しく必ずしも効果があるものとは限りません。
むしろ、腎機能に悪影響を与える可能性もあるため注意が必要です。

腎毒性のある薬剤の適正使用

医師の指示に従い、用量用法を守って服薬しましょう。

基礎疾患の管理

糖尿病や高血圧などの基礎疾患の悪化により腎機能障害を引き起こすことがあります。
かかりつけ医と相談し、適切な管理をしましょう。


急性腎障害が気になる方へ

AKIは自覚症状が乏しい疾患ですので早期発見が重要です。
尿量の減少や倦怠感などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。基礎疾患をお持ちの方や薬を内服中の方は、定期的に腎機能をチェックしてAKI予防や早期発見に努めることが大切です。
AKIは、早期発見と適切な治療介入により、予後の改善が期待できる疾患です。症状に気づいたら、速やかに医療機関を受診しましょう。

参考文献

  1. 日本腎臓学会. AKI(急性腎障害)診療ガイドライン2016. 東京医学社, 2016.
  2. Khwaja A. KDIGO clinical practice guidelines for acute kidney injury. Nephron Clin Pract. 2012;120(4):c179-84.