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気管支喘息

気管支喘息とは

気管支喘息は、気道に慢性的な炎症が起こっていて過敏になり、また粘液などが多く出ることでむくみ、気道が狭くなってしまった状態で、ちょっとした刺激によってさらに気道が狭くなり、咳や痰がでて、息がしにくくなる喘息発作をくりかえす疾患です。お子さんの喘息発作の場合はアレルギーが原因となることが多いのですが、成人の場合はアレルギーの他に、粉塵や薬品など化学物質、ストレスといったことが原因でも発作を起こします。
症状は、ヒューヒュー・ゼーゼーという特徴的な呼吸音(喘鳴)、呼吸困難、咳、痰、胸がつまっているような感覚などで、季節の変わり目や寒暖差などの環境的要因や風邪などをきっかけに発作が起こりやすくなっています。

運動誘発性喘息とは

運動誘発性喘息とは、スポーツなどで身体を動かすことをきっかけに起こる喘息発作のことです。運動時は呼吸数が増えますので、寒い季節などには冷たい空気が気道に入り込むことがきっかけとなって、気道が狭くなり喘息発作が起こります。
しばらく安静にしていれば治まってくることが多いのですが、症状が激しい場合には喘息発作時の吸入薬などの使用が必要になるケースもでてきます。
まずは発作を起こさないよう、ウォーミングアップをしっかりと行うことや、マスクの着用などの予防措置を講じましょう。

アスピリン喘息とは

アスピリンは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の代表のような薬です。このアスピリンや同系列の薬によって喘息発作が起こる方がおり、これをアスピリン喘息といいます。小児ではあまり症例がありませんが、成人の喘息発作の1割程度はこのアスピリンが原因となっているとみられています。アスピリンの成分は、鎮痛薬だけではなく、風邪薬などにも含まれていることがあり、注意が必要です。


気管支炎と気管支喘息の違い

気管支炎と気管支喘息はどちらも咳を主症状とする疾患で、患者さんが外部にあらわれる症状からそのどちらであるか判定することは難しいと思います。
気管支炎はウイルスや細菌に感染することによって気管支が炎症を起こしてしまった状態です。風邪から気管支までに炎症が及ぶことなどで起こります。
一方、気管支喘息も咳や息苦しさなどを主症状としますが、原因は免疫システムの誤作動によるアレルギー反応や気道に炎症が続くことによります。炎症が続くことによって気道は敏感になりすぎて、ちょっとした刺激(アレルゲンの侵入やタバコの煙などの刺激)によって急激に気道が狭くなり、喘息発作を起こします。
このように発症の原因は異なりますが、患者さん自身でその差を鑑別することは難しいため、咳が続き呼吸困難などの症状があらわれた場合、お早めに専門医にご相談ください。


気管支喘息の原因

気管支喘息は、発作を起こしていない状態でも気道に炎症が続き、気道表面の上皮が剥落し、気道粘膜がむくみ、健康な人に比べて気道が狭い状態になります。
そこに、アレルゲンとなる物質や薬物、タバコや線香の煙などの刺激物質や細菌やウイルスによる感染によって、気道が急激に狭窄してしまうために呼吸困難、喘鳴、咳といった症状に代表される喘息発作があらわれます。また、そうした刺激物質ではなく、寒暖差や冷気、気圧の変化、ストレスといった要因でも発作が起こることもあります。さらに気道の粘膜がむくんでいることと、気道の上皮の剥落が多いことによって痰も多くなります。


気管支喘息と鑑別が必要な病気

咳や痰が続く症状をあらわす病気 百日咳 百日咳菌による感染症で、2週間以上、激しい咳が発作的に続く疾患です。
マイコプラズマ マイコプラズマ菌による感染症で風邪の症状とともに高熱が出て、肺炎をおこすこともあります。気管支喘息がある方は悪化する場合があります。
結核 結核菌による感染症です。微熱とともに咳が出ます。レントゲン検査によって診断します。
急性気管支炎や肺炎 上気道炎(風邪など)が悪化して炎症範囲が気管支まで及びます。また、肺炎でも咳や痰などとともに喘鳴があらわれることもあります。
アトピー性咳嗽(がいそう) アレルギーによってのどの痒みや空咳などが続きます。 気道が過敏になっているため言葉を発するだけでも咳が出ることもあります。
後鼻漏(こうびろう) アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などの増悪によって、鼻汁がのどに落ちて炎症を起こし咳が続きます。
胃食道逆流症(GERD:いしょくどうぎゃくりゅうしょう) 胃酸を含む胃の内容物が食道に逆流し食道粘膜に炎症などの症状をおこします。のどにも刺激があり空咳が続きます。
心因性咳嗽(しんいんせいがいそう) ストレスなど心因的な原因から咳が続きます。心因性咳嗽になると4人に1人程度は気管支喘息を合併するという報告もあります。
肺がん 早期のうちはあまり自覚症状がありませんが、進行してくると咳が続き血痰が出る、胸や背中が痛むなどの症状がでてきます。
呼吸困難を主な症状とする病気 肺水腫(はいすいしゅ) 心機能の低下から肺がむくみを起こし、呼吸が困難になります。
慢性閉塞性肺疾患(COPD:まんせいへいそくせいはいしっかん) 喫煙や粉塵の吸引などによって肺に慢性的な炎症がおこり、咳、痰、息切れなどが起こります。
過喚気症候群(かかんきしょうこうぐん) ストレスなど心因的な原因から過呼吸となり、呼吸困難を起こします。
喘息と合併することが多い病気 アレルギー性鼻炎(花粉症、ハウスダストなど) 花粉などの季節性のものや、ハウスダストなど通年性のものによって起こるアレルギーです。喘息と合併した場合、症状は悪化する傾向があります。

気管支喘息の検査

肺機能検査

肺機能の検査項目としては、肺活量(FVC)と1秒率(FEV1)があります。肺活量は思い切り息を吸い込んだときの息の全体量、1秒率は思い切り息を吸い込んで急激に吐き出した際の最初の1秒に吐き出せる息の割合です。1秒率の正常の目安は70%ですが気管支喘息がある場合、この数値が低下します。

気道可逆性試験

まず平常時の肺機能検査を行い、その後、気管支拡張薬(短時間作用型β刺激薬)投与、15~30分ぐらい経過を待ち再度肺機能検査を行います。気管支喘息がある場合、薬剤投与後の計測で数値の改善が見られます。気管支喘息を診断したり、治療の効果を確認したりする際に行います。

ピークフロー

ピークフローとは、最大限努力して息を吐き出した際のピークの呼気の1分あたりの流速(L/min)のことです。ピークフローメーターという機器を使って測定しますが、健康保険適用で処方できますので、薬局などで購入後、ご家庭で計測していただきます。

血液検査

血液検査血液検査では、患者さんにとってのアレルゲンを知るための特異的IgE抗体の有無、好酸球や非特異的IgE抗体の数などを計測します。

喀痰検査

喀痰検査によって、痰中の好酸球数を確認したり、アレルゲンになる物質が含まれていないかを確認したりします。


気管支喘息の治療

気管支喘息の治療
気管支喘息の治療の基本は、発作が起こらないようにすることと、発作が起こってしまった時にそれを早急に和らげることの2点です。
発作が起こらないようにするためには、日ごろから慢性的に続く気道の炎症をおさえるために吸入ステロイド薬や抗アレルギー薬を使用します。
一方、発作が起こってしまった時には、急激に狭まった気管支を拡げる気管支拡張剤である長時間作用型β2刺激薬などを使用します。
これらの治療で、症状が改善してきた場合、2~3か月の間の安定度を観察して、薬を減らすかどうかなどの方針を建てていきます。悪化してしまうこともあるため、薬は自己判断で減らさず、必ず医師の指示を守ってください。

喘息の薬について

気管支拡張剤

β2刺激薬は動悸、手のふるえ、吐き気・嘔吐などがあります。

ステロイド剤

気管支喘息の場合、ステロイド剤は基本的に吸入薬を使用します。
内服薬を使用する場合、副作用として長期使用による感染症にかかりやすくなる、胃潰瘍、骨粗鬆証、糖尿病、脂質異常症(高脂血状態)、不眠症、顔の腫れなどが起こることがあります。
吸入薬の場合は効果が限定的な部分のみで、副作用はあまり多くありません。吸入後にうがいをすることで、口内炎や声の嗄れを予防することができます。

抗アレルギー剤

気道の収縮を起こす物質の生成を抑えたり、アレルギー反応を抑えたりすることで喘息発作を起こしにくくします。比較的軽症の患者さんに使用することが多くなっています。抗ロイコトリエン受容体拮抗薬をはじめとしてさまざまな種類があります。

生物学的製剤(注射剤)

ステロイド吸入薬などで思うように改善、またはコントロールできない重症の患者さんに新しく使用することが可能になったのが生物学的製剤であり、この薬剤を投与することによって、気道に炎症を起こす物質を受けとめる細胞側の入口を塞いでしまいます。血液検査で患者さんそれぞれのもつインターロイキンやIgE抗体の種類を調べ、それにあった製剤を選んで投与します。ただし、治療費が高額になってしまう可能性もあり、治療開始前にその点を患者さんとしっかりと説明した上で治療を決定していきます。


気管支喘息は治らない?いつまで治療を続ける?

気管支喘息のコントロールは容易になってきましたが、治療を継続することが前提になっていることが多いということも確かです。
治療の経過をみながら、数か月症状があらわれず、肺機能検査や血液検査などの経過も良好な場合は、減薬を考えていきます。さらに数か月様子をみてもう少し減薬できるかを検討します。もし症状があらわれるようなら増薬となります。このようにして少しずつ長い目で調整しながら、服薬・吸入の中止が可能かを検討していきます。


喘息は人にうつる?

喘息は咳のでる病気です。そのため他人に伝染させてしまうのではと心配する方がいます。しかし喘息自体は感染症ではなく、気道の炎症ですので、他人にうつしてしまうことはありません。ただし、気管支喘息の方が風邪などの感染症にかからないということはありません。そのため、咳が続く場合はマスク着用など咳エチケットを守るように配慮しましょう。