腎臓エコー(超音波)検査について
腎臓エコー検査について
腎臓エコーとは?
腎臓エコー(超音波)検査は、超音波を使って腎臓の状態を観察する非侵襲的な検査方法です。この検査では、腎臓の大きさ、形状、内部構造などを詳しく調べることができます。また、エコーで腎動脈を観察することで、腎臓への血流状態をより詳細に評価できます。
腎臓エコー検査でわかること
腎臓エコー検査では、以下のような情報を得ることができます:
腎臓の大きさと形状
正常な腎臓の大きさは、成人の場合、長径で約10〜12cm程度です。エコー検査では、腎臓の大きさが正常範囲内にあるかどうかを確認できます。また、腎臓の形状についても、正常な豆型をしているか、または変形や凹凸がないかを観察します。
腎臓の内部構造
エコー検査では、腎臓の内部構造を詳しく観察できます。正常な腎臓では、外側の皮質と内側の髄質が区別でき、腎盂(じんう)と呼ばれる尿を集める部分も確認できます。これらの構造に異常がないかを調べます。
腎臓の血流状態
カラードップラー法を用いることで、腎臓内の血流の様子を観察できます。正常な腎臓では、血流が均一に分布しているのが特徴です。
腎動脈の状態
腎動脈エコーを行うことで、腎臓に血液を送る主要な血管である腎動脈の状態を確認できます。狭窄(きょうさく)や閉塞などの異常がないかを調べます。
結石や腫瘍の有無
腎臓内の結石や腫瘍の有無を確認することができます。結石は強い反射エコーとして、腫瘍は周囲の正常組織と異なる像として観察されます。
のう胞(嚢胞)の有無
腎臓内にあるのう胞(液体の詰まった袋状の構造)の有無や大きさ、数などを確認できます。
腎臓エコー検査で異常が見つかった場合の対応
腎臓エコー検査で何らかの異常が見つかった場合、その内容によって対応が異なります。以下に、主な異常所見とその対応について説明します。
腎臓の大きさや形状の異常
腎臓が正常より小さい場合(萎縮)や大きい場合、また形状に異常がある場合は、原因を特定するための追加検査が必要になることがあります。慢性腎臓病、先天性の異常などが考えられるため、血液検査や尿検査を行います。さらに形態評価のために詳細な画像検査(CT、MRIなど)を行うことがあります。
内部構造の異常
腎臓の内部構造に異常が見られた場合、腫瘍、のう胞などの可能性があります。
対応
血流異常
腎臓内の血流が正常と異なる場合、腎臓の機能低下が疑われます。
対応
血液検査で腎機能を確認します。高血圧を伴う場合は、血圧管理も重要になります。
腎動脈の異常
腎動脈に狭窄や閉塞が見られた場合、腎血管性高血圧などの原因となる可能性があります。
対応
血圧測定や血液検査、さらに詳細な画像検査(造影CT、MRA、血管造影など)が行われることがあります。状況に応じて、薬物療法や血管内治療(ステント留置など)が検討されます。
結石
腎臓内に結石が見つかった場合は、基本的に症状がないため経過観察なることが多いです。尿管に排泄されたとき(尿管結石)に治療となります。ただし、腎結石があることで腎機能の低下を認める場合がありますので、食生活の改善が必要になります。
対応
- 小さな結石(5mm未満):水分摂取を増やし、自然排石を促す内服薬を使用します。痛み止めの処方を受けることもあります。
- 中程度の結石(5-10mm):体外衝撃波結石破砕術(ESWL)という、体外から衝撃波を当てて結石を砕く治療が行われることがあります。
- 大きな結石(10mm以上):内視鏡手術や経皮的腎結石砕石術(PCNL)などの手術的治療が検討されます。
いずれの場合も、結石の原因を調べるための検査(24時間蓄尿検査など)や、再発予防のための生活指導が行われます。
腫瘍
腎臓に腫瘍が見つかった場合、良性か悪性かの判断が重要になります。
対応
CT、MRIなどのより詳細な画像検査が行われます。悪性腫瘍(腎細胞癌など)と診断された場合、腫瘍の大きさや進行度に応じて、手術、凍結療法、分子標的薬による治療などが検討されます。良性腫瘍の場合は、定期的な経過観察が行われることが多いです。
のう胞(嚢胞)
単純性のう胞は、多くの場合は治療を必要としません。ただし、多発性嚢胞腎などの遺伝性疾患の可能性もあります。この場合は、腎機能障害をきたすため精査治療が必要になります。
対応
のう胞の数、大きさ、性状によって対応が異なります。単純性のう胞の場合は、定期的な経過観察を行います。多発性嚢胞腎が疑われる場合は、遺伝子検査や家族の検査が勧められることがあります。また、多発性嚢胞腎は肝臓内の嚢胞や脳動脈瘤を併発していることがあるため、MRI検査を行います。現在、多発性嚢胞腎の根治術はありませんが、悪化スピードを遅らせると報告されているトルバプタンを使用することがあります。
まとめ