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インフルエンザ

インフルエンザとは 風邪とはどう違うのか

インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症で、風邪のような上気道症状も出ますが、むしろ高熱や全身倦怠感などの全身症状が強い疾患です。
風邪は細菌やインフルエンザウイルス以外のウイルスによる感染症で、咳、鼻水、鼻づまりといった上気道症状が強い疾患です。どちらも安静にすることでだんだん回復していきますが、インフルエンザは重症化したり合併症をおこしたりすることがあり、乳幼児、高齢者、慢性疾患のある方は注意が必要です。


インフルエンザの型とは

インフルエンザウイルスには、A~Dの4つの大きな型があります。またそれぞれの型には亜型が多く存在します。このうちヒトに伝染するのはA型、B型、C型の3つですが、A型はヒトだけではなく他の哺乳類や鳥類にも伝染します。また、ヒトで流行となるタイプは、A型とB型です。
ウイルスの構造について少し詳しく説明しますと、A型とB型のインフルエンザウイルスの表面には、赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という2つの重要なタンパク質があります。これらは、ウイルスが人体に感染する際に重要な役割を果たします。また、私たちの免疫システムは、これらのタンパク質を認識して抗体を作り、ウイルスと戦います。
特にA型インフルエンザウイルスは非常に多様性があり、HAには15種類、NAには9種類の異なるタイプがあります。これらが様々な組み合わせを作ることで、多くの種類のA型インフルエンザウイルスが存在することになります。
この多様性が、インフルエンザの予防を難しくしている一因です。ウイルスの種類が変わると、以前かかったインフルエンザや以前受けたワクチンで得た免疫が効きにくくなることがあるためです。


インフルエンザはどんな季節に流向するのか

インフルエンザは毎シーズン12月から流向が始まり、1~2月を流向のピークとして3月ごろまで続く傾向があります。ときによってはさらに早い時期から流行始めることもあります。インフルエンザワクチンは、接種して2週間程度で効果があらわれ、その効果は4~5か月続きます。
そのため10月中旬から遅くとも11月の終わりごろまでに接種することによって流向のシーズン中の効果を保つことができます。


インフルエンザウイルスの潜伏期間は

インフルエンザウイルスに感染すると、年齢、体質やその時の体調などによって変わってきますが、およそ1~3日の潜伏期間の後に発症します。
あまり潜伏期間が長くなく、体内でウイルスが一気に増えることが特徴の一つですが、短い潜伏期間の間は症状がないまま、他人に感染させてしまうことがあり、注意が必要です。


インフルエンザはどういう経路で感染するのか

インフルエンザウイルスは、主に飛沫による感染が考えられます。感染経路を知っておくことは予防を考える上で大切です。

飛沫感染

ウイルスの保菌者がくしゃみなどをした場合に出される飛沫を吸い込むことでの感染です。人の多い職場や学校、イベント会場や雑踏などで起こりやすいため、マスク等による対策が必要です。


インフルエンザはどうやって予防するか

インフルエンザにかかってしまうことを必要以上に恐れることはありません。しかし感染経路への対策によって感染の確率を減らすことができます。
飛沫感染は、以下に説明する方法を励行し、インフルエンザにかからないようにすること、かかってしまった場合は人にうつさないようにすることが大切です。

手洗いと手の消毒、うがいの徹底

まずは、帰宅したらコートなど一番外に着ていたものを玄関口でよく掃い居間や寝室などに持ち込まないようにしましょう。また付着しているかもしれないウイルスなどを落とすため必ず丁寧に手洗いやうがいをしましょう。
食事前も同様です。不特定多数の方が触る電車のつり革、ドアノブ、エレベータのボタンなどには病原体が付着しやすいのですが、外出先でしっかりと手を洗えないような場合、用意してあるアルコールスプレーを使う、滅菌ウェットティッシュを用意するなどの工夫をしてください。

外出時のマスク着用

マスクをうっとうしがる方もいますが、飛沫感染を防止するためにある程度有効性があります。また、マスクによる防湿効果でのどや口腔の乾燥を防ぐことができるため、その点でも感染防止効果を期待できます。
また、マスクは口だけ覆うのではなく、鼻までしっかり覆うことが大切です。

咳エチケットの徹底

咳やくしゃみが出る場合、咳エチケットを守ることが大切です。
咳エチケットの第1はマスクを着用すること、第2はティッシュなどで口を覆うこと、第3は袖などで口を覆うことです。
何も覆わないで咳をすること、手で口を覆うことは感染を広めることになりエチケット違反です。感染していても症状があらわれないケースもあり、そんなときに平気でエチケットなしにくしゃみなどをしてしまうことで感染を広める可能性もありますので注意しましょう。

マスクを着用する際の注意

使用中のマスクの内側にはウイルスなどが付着している可能性があります。そのため使用中のマスクをはずすとき、表面に手で触れてしまうと、手にウイルスが付着し感染を広めてしまう可能性があります。
マスクの着脱の際は手指のアルコール消毒などを徹底し、はずしたマスクはポリ袋などに密封するようにしましょう。

十分な栄養と睡眠

インフルエンザなどの罹患リスクを下げるためには免疫力が大切です。免疫力が下がっていると、罹患リスクは高まり、また罹患した際重症化のリスクが高まります。
ふだんからバランスの良い食事を規則正しく摂り、また休養のための規則正しい睡眠などを心がけ、免疫力を高めておきましょう。

免疫力を高める食事

免疫力を高めるためには、食事内容も大切です。バランスの取れた食事を、食べ過ぎに注意しながら規則正しく食べることが大切です。近年、免疫力を高めることで注目されているのが、ビタミンDです。ビタミンDの効果は、免疫システムの調整と強化、骨の健康維持、炎症の抑制、感染症のリスク低下などがあります。ビタミンDが含まれている主な食事は、魚類(サーモン、マグロ、サバ、イワシなど)、卵黄、キノコ類(特に干しシイタケ)、乳製品(牛乳、ヨーグルト)、肝臓(牛レバーなど)です。
しかし、食事だけでビタミンDを十分に摂取するのは難しい場合があります。日光を浴びることによって体内でビタミンDを生成できますが、季節や生活様式によっては不足することがあります。必要に応じて、医師と相談の上、サプリメントの使用を検討することも一つの選択肢です

湿度を保つ

のどの粘膜が乾燥してしまうと、免疫力が低下し、感染しやすくなります。インフルエンザの流行する冬塲は太平洋側では乾燥が激しく、また全国的に室内は暖房などで乾燥しやすくなります。加湿器などを使って、室内の湿度を50~60%程度に保つようにしましょう(カビアレルギーがある場合は、アレルギー症状が悪化するため加湿器は使用しないでください)。
また、口が渇きやすい方には就寝中のマスク着用がお勧めです。

人混み、繁華街への外出を控える

高齢の方や妊娠中の方、慢性疾患をもっている方は、インフルエンザが流行する時期になったら人混みや繁華街では注意が必要です。また、体調不良や睡眠不足、疲労がある方も注意しましょう。

インフルエンザの予防接種を受けましょう

インフルエンザは、もしかかってしまった場合でも通常は1週間ほど安静にしていれば回復します。しかし、なんらかのきっかけで健康な方でも肺炎や脳炎などの重篤な状態になってしまう可能性もあります。そのため、毎シーズンおこなわれるインフルエンザワクチンの接種をうけておけば、罹患しにくくなるばかりではなく、もし罹患してしまっても軽症ですむようになります。ワクチンを積極的に接種しましょう。

インフルエンザワクチンとは

インフルエンザワクチンは、生ウイルスを培養・増殖させた後に殺菌し、HAとよばれるウイルスの外側のトゲの部分だけをとりだした不活化ワクチンです。培養・増殖には孵化鶏卵を使用しますが、その後高度に精製しますので、卵の成分が入りこむことはほとんどありません。
このワクチンを接種すると、体内にある免疫細胞がインフルエンザウイルスと認識して抗体を生成し、できた抗体によってインフルエンザウイルスの侵入を防御し、また侵入されても抗体反応をすばやく起こして軽症で済むようにします。
インフルエンザは毎年流向するウイルスの型が異なりますが、これは世界的な流向の傾向などを観測している専門の機関が高度な予測をたてて、そのシーズンの流向する型に見あったウイルスが生産される仕組みになっています。
なお、65歳以上の高齢者はインフルエンザワクチンに対して公費助成があります。接種券が届きましたら、ご相談ください。

インフルエンザ予防接種と卵アレルギー

我が国で作られているインフルエンザワクチンは高度に精製され、慎重な検査を経て製品化されています。そのため、卵の成分はほとんど混入していません。ごく少量の卵の成分でアレルギー症状が出てしまう重篤な卵アレルギーの方でなければ接種に問題はありません。

妊娠中も予防接種を推奨しています

妊娠中にインフルエンザにかかってしまうと、胎児に悪影響がでることがあります。また出産直後にインフルエンザにかかってしまった場合は育児に影響がでることもあります。
妊娠中であってもインフルエンザワクチンは胎児に影響を与えませんので、積極的に接種をうけることをお勧めしています。

インフルエンザの予防接種を受けることができない方

以下のような方はインフルエンザの予防接種を受けることができません。

  • 接種当日37.5℃以上の熱がでた
  • 急性の重篤な病気を発症した
  • これまで、インフルエンザワクチンの接種で、重篤なアレルギー症状(アナフィラキシーショックなど)を起こしたことがある

このほかにも、医師が接種しない方が良いと判断する場合もあります。

ワクチンの接種に医師との相談が必要なケース

以下のような方は、予防接種を受ける前に、主治医などと相談した上でお申し込みください。

  • 心臓病、肝臓病、血管の疾患など慢性疾患の治療を現在受けている方
  • 痙攣を起こした経験がある方
  • 肺炎、中耳炎などに繰り返しかかった経験があり、免疫システムに異常があると診断された方
  • これまでのインフルエンザワクチン接種で、接種後2日以内に発熱、蕁麻疹、発疹などのアレルギー症状があらわれたことのある方
  • インフルエンザワクチンの成分、鶏卵、鶏肉などニワトリアレルギーがあると言われたことがある方

ワクチン接種の後の注意点

インフルエンザワクチン接種の後、副反応が出る可能性があります。また発熱等の副反応はほとんどが24時間以内にあらわれます。24時間は体調の変化に注意して過ごすようにしてください。接種当日は激しい運動、多量の飲酒などは避けてください。
接種当日でも入浴は可能です。ただし、接種箇所を強くもんだりこすったりしないように注意してください。


タミフルによる異常行動と思われた事故に関して

インフルエンザの抗ウイルス薬の1つとしてタミフル®(一般名オセルタミビル)があります。かつて、タミフルを服用していた10代の若者のマンションからの転落事故が相次ぎ、タミフルによる副作用ではないかと10代へのタミフルの投与が控えられた時期がありました。しかしその後の研究によって、この現象はタミフルの服用によるものではなく、高熱による熱せん妄であることがわかってきました。
熱せん妄は、発熱によって異常な不安や恐怖、幻覚、自分のいる場所などがわからなくなる失見当識などを起こしてしまう状況のことです。インフルエンザにかかって2日ほどの間はこの熱せん妄を起こしやすい状態になっており、マンションからの転落もタミフルとは関係なく、他の治療薬や治療薬を投与されていないケースでも起こっていたことがわかり、現在は10代の若者であってもタミフルの投与制限はありません。
一方で、お子さんがインフルエンザに罹患した場合、どのような状況であってもこの熱せん妄をおこしやすい時期があることを理解し、最初の数日間は一人で過ごさせず、必ず大人が様子を見られる環境に置く、2段ベッドの上などでは寝かせないなどの対策をとっておくようにしましょう。

抗インフルエンザウイルス薬は必ず必要?

インフルエンザウイルスに感染しても、対症療法により1週間程度で回復しますので必ずしも抗インフルエンザウイルス薬を服用する必要はありません。しかし、ノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビルなど)は副作用も少ないとされており、発病後2日以内に服用すれば症状を軽くし、罹病期間の短縮も期待できるとされています。そのため、発熱などの症状が強い場合は、抗インフルエンザウイルス薬を使用してもよいと考えます。