尿が泡立つのは?
尿が泡立つ現象は、尿中に含まれるタンパク質、糖質やウロビリノーゲンが関与しています。健康な人の尿にもウロビリノーゲンや微量のタンパク質が含まれることがあり尿の泡立ちを認めることがありますが、過剰な泡立ちは何らかの異常(尿糖、タンパク尿など)を示唆している可能性があります。
尿が泡立つ原因
生理的な(病的ではない)泡立ち
脱水
尿が濃縮され、泡立ちやすくなります。脱水は、水分摂取不足、発熱、下痢、嘔吐などによって引き起こされます。十分な水分補給により、尿の濃度は正常化し、泡立ちも改善します。
激しい運動
運動後に一時的にタンパク尿が出現し、泡立つことがあります。これは、運動によって腎臓に負荷がかかり、タンパク質の漏出が増加するためです。通常、運動後のタンパク尿は一過性で、休息により回復します。
妊娠
妊娠中は生理的にタンパク尿が出現しやすく、泡立ちがみられることがあります。これは、妊娠に伴う腎臓への血流量の変化が関与していると考えられています。妊娠中のタンパク尿は一時的であれば問題ありませんが、持続する場合は妊娠高血圧症候群などの重篤な疾患の可能性があります。そのため産婦人科検診で定期的に評価することが大切です。
病的な泡立ち
腎臓病
ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、急性腎障害や慢性腎臓病などの腎臓病では、尿中へのタンパク質漏出が増加し、泡立ちが見られます。腎臓病は自覚症状の乏しい病気であり、腎機能悪化が進行した場合に症状を認めることが多いです。尿の泡立ちは早期発見につながる可能性がありますので、持続して尿の泡立ちがある場合は医療機関での検査をおすすめします。
高血圧
高血圧は腎臓の細動脈を損傷させ、糸球体の濾過機能を低下させます(=腎硬化症)。その結果、タンパク尿と泡立ちが生じることがあります。高血圧は慢性腎臓病の主要なリスク因子であり、血圧管理が重要です。
糖尿病
血糖値の上昇に伴い、尿中へのブドウ糖の排泄が増加します(=尿糖)。尿糖が増加すると、尿の粘稠度が高まり、泡立ちが顕著になります。この尿の泡立ちは、糖尿病の初期症状の一つとして知られています。特に、果物やジュース、清涼飲料水などの糖分を多く含む食品や飲料を摂取した後や、食事後に尿の泡立ちが目立つようであれば、糖尿病の可能性を疑う必要があります。また、糖尿病の3大合併症の一つである糖尿病性腎症は、尿中へのタンパク質漏出が増加し、泡立ちが見られます。糖尿病患者は定期的な尿検査を受け、腎機能の評価を行うことが大切です。
多発性骨髄腫
尿中のBence-Jones タンパク質が増加し、特徴的な泡立ちを示します。多発性骨髄腫は血液のがんの一種で、早期発見と治療が予後を左右します。確定診断には、骨髄穿刺が必要なため、当院で血液検査及び尿検査を行った上で血液内科のいる提携医療機関に紹介となります。
感染症
尿路感染症や性感染症では、感染に伴う炎症反応により、尿中の白血球やタンパク尿が増加し、泡立ちを引き起こします。また膿尿によっても泡立ちを認めます。適切な抗菌薬治療が必要ですので、発熱、排尿時痛や頻尿なども合わせて認める場合は早期に医療機関に受診する必要があります。
受診が必要な尿の泡立ち
持続的な泡立ちがある時
一過性の泡立ちは問題ないことが多いですが、持続的な泡立ちは腎臓病などの重大な疾患を示唆している可能性があります。数日以上続く泡立ちは要注意です。
他の症状もある時
泡立ちに加えて、浮腫(特に下肢)、血圧上昇、体重増加などの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。これらの症状は腎臓病の可能性が高いです。また、体重減少、腰痛、貧血症状などの症状がある場合は、多発性骨髄腫などの血液疾患の可能性がありますので、血液内科のいる医療機関を受診することをおすすめします。
定期的な検査や健診が大切です
尿の泡立ちを認める疾患は、早期発見と治療介入が重要です。特に高血圧や糖尿病がある方は、定期的な尿検査を受けることが大切です。また、特に病気がない場合でも年に1回以上の健診を受けましょう。健診では、尿検査だけでなく、血圧測定、血液検査、腎臓エコーなどの画像検査も行われますので自覚症状が乏しい腎臓病を早期に発見できます。
当院で可能な検査など
尿検査、血液検査、腹部超音波検査
※CT検査やMRI検査が必要な場合は、提携医療機関で行います。
※腎生検が必要な場合は、提携医療機関に紹介の上で入院検査となります。
食事指導
当院は管理栄養士を常在していますので、食事指導が可能です。